近年、インナーマッスル、体幹、コア、軸などのという言葉が多くのメディアで取り上げられ、関連書籍は次々ベストセラーを記録しています。それにともなって、インターネットでは「インナーマッスルを鍛えるだけで痩せられるの?」「インナーマッスルのトレーニングは意味ないって本当なの?」など、インナーマッスルに関するさまざまな噂があとを絶ちません。たくさんある情報の中で何が嘘で何が真実か、判断に困ってしまいますよね。
そこで今回はそんなインナーマッスルに関するよくある疑問を取り上げ、一つずつ解説していきます。スポーツをしている方や、身体づくりにインナーマッスルのトレーニングを役立てたいと考えている方は参考にしてみてくださいね。
インナーマッスルとは
インナーマッスルという言葉は聞いたことがあるけど、正直、意味はあやふや……という方は意外と多いかもしれません。ここではインナーマッスルとは何か、混同されやすい言葉もご紹介します。
● 身体の深いところにある筋肉のこと
インナーマッスルとは別名「深層筋」とも呼ばれ、身体の深い部分に位置する筋肉のことです。身体の深いところにあるため、インナーマッスルが働いていることを確認するのは、見た目ではなかなか難しいかもしれません。
インナーマッスルは、身体の胴部分や肩関節、股関節など身体の各部分に存在しています。
● インナーマッスルと混同しやすい「体幹・コア・軸」
インナーマッスルとよく混同されやすい言葉として「体幹」という言葉があります。フィットネスやエクササイズ関連の雑誌、書籍などでは「コア」や「軸」と表現されていることもあります。
体幹とは、人の身体の中でも胴部分を指しています。つまり、インナーマッスルとは筋肉のある場所の「深さ」を示しており、体幹とは胴という「場所」を示している言葉なのです。似ているようで、まったく別の意味をもつ言葉である、ということが分かります。
身体の各部におけるインナーマッスルなど、くわしい内容はこちらの記事でご紹介していますので、合わせてご覧ください。
《インナーマッスルってどこの筋肉のこと?体幹との違いやそのはたらきを解説》
インナーマッスルに関する嘘?本当?
インターネット上にはインナーマッスルに関するさまざまな噂や疑問が飛び交っています。なかでも、よく聞かれる疑問や、間違われやすい疑問について解説していきます。
① インナーマッスルを鍛えていれば、アウターマッスルを鍛えなくてもいい?
インナーマッスルとアウターマッスルはお互いに作用してはたらいているため、バランスよく鍛えていくことが大切であるといわれています。そのため、一般的には、インナーマッスルを鍛えていればアウターマッスルを鍛えなくてもいい、というのは「間違い」であるといえます。
こちらの記事でもインナーマッスルとアウターマッスルの関係についてご紹介しているので、ぜひご覧ください。
《インナーマッスルとアウターマッスルを同時に鍛える?はたらきや特徴の違いとは》
② インナーマッスルを鍛えるだけで痩せる?
インナーマッスルを鍛えることで基礎代謝量がアップすると、脂肪が燃焼しやすく太りにくい身体になるといわれています。ただし、インナーマッスルを鍛えるだけで必ずしも痩せる、とは言い切ることができません。
基礎代謝は体温を上げたり心臓を動かしたり、生命を維持するために必要なエネルギーのことですが、筋肉量が増えると基礎代謝量もアップします。しかし、単に基礎代謝量が高い状態にあるだけでは、限界があります。ダイエットを効率的に進めるには、バランスのとれた食事を心がけ、有酸素運動で脂肪を燃焼させるなどの必要があります。
インナーマッスルとダイエットに関する内容はこちらの記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
《インナーマッスルを鍛えると痩せられるの?ダイエットにいい理由や効果的なトレーニング》
③ インナーマッスルを鍛えるとケガが予防できる?
人間の身体は、インナーマッスルとアウターマッスルがお互いに作用して正しく動くことができます。そのため、「どちらか一方だけ鍛えればいい」ということはなく、インナーマッスルとアウターマッスル、どちらの筋肉もバランスよく使っていくことが、身体の安定性にもつながっていきます。
またケガをしにくい身体づくりには、柔軟性を高めることも大切です。インナーマッスルを鍛えるトレーニングの前後にストレッチを取り入れ、効率的に身体づくりを行いましょう。
④ インナーマッスルを鍛えると腹筋が割れる?
腹筋が割れるとは、お腹の真ん中にある「腹直筋」という筋肉が割れている状態です。この腹直筋はアウターマッスルに分類されます。それに加え、腹筋を割るためには、脂肪を燃焼し、腹直筋をはじめとする筋肉を鍛えるという2段階の過程が必要となります。
ただし、下腹部がぽっこりと出てしまっている場合はインナーマッスルが衰え、内臓が下垂してしまっている可能性も。そのような場合には、インナーマッスルを鍛えることで、下がっている内臓を正しい位置に戻すことができます。そうすることで、お腹まわりをスッキリさせ、ウエストのくびれを作ることにもつながます。
⑤ インナーマッスルを鍛えれば運動時のパフォーマンスが向上する?
インナーマッスルを鍛えることで骨や関節を安定させ、手足をスムーズに動かすことができ、結果として運動機能の向上につながります。アウターマッスルの役割は主に瞬発的なパワーを生むことにありますが、土台であるインナーマッスルとバランスよく鍛えることで、はじめてその効果が発揮されます。
インナーマッスルを鍛えることのメリットや効果が出るまでの期間について、くわしくはこちらの記事でもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
《インナーマッスルを鍛えて得られる効果は?効果が出るまでの期間とは》
効率的にインナーマッスルを鍛えよう
ここでは、インナーマッスルが衰えることの影響や、インナーマッスルを鍛える方法をお伝えします。
● インナーマッスルが衰えるとどうなるの?
インナーマッスルが衰えると、身体の基盤が揺らいでしまい姿勢が悪くなります。また呼吸機能が低下し、身体に十分な酸素を取り入れられない状態に。だるさや疲れが取れにくくなるなどの可能性があります。
さらに、インナーマッスルが弱まり内臓の位置がずれた状態にあると、内臓のはたらきが悪くなり、便秘や尿まわりのトラブルを引き起こします。特に出産経験がある女性は、骨盤底筋がかなりのダメージを受けており、そのまま放置しておくと尿もれなどのリスクが高まります。
● インナーマッスルを鍛えるトレーニング
インナーマッスルを鍛えるためには、ゆっくり小さな動きでも、正しい姿勢を保ち、身体のバランスをとるようなトレーニングがおすすめです。例えば基礎的なトレーニングである「プランク」は、お腹まわりのインナーマッスルを鍛えるのに効果的です。
インナーマッスルは体の深部にある筋肉なので、変化が感じられるまで時間がかかりますが、トレーニングを継続することが重要です。インナーマッスルの具体的なトレーニング方法については、こちら記事でも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
- 【エクササイズ初心者でもできる!】インナーマッスルの鍛え方を成田医師が徹底解説
- インナーマッスルのトレーニングを徹底解剖!お役立ちグッズや鍛えるコツも
- インナーマッスルを鍛えるならやっぱり筋トレ!トレーニング方法(応用編)をご紹介
正しい知識をトレーニングに活かそう!
そもそもインナーマッスルと混同されやすい言葉として体幹などがありますが、まったくの別物です。またインナーマッスルに関するよくある疑問を見てきましたが、長期的な視点で見れば正しいといえるものも存在しています。
インターネットでたくさんの情報が溢れる現代社会は、便利な一方、気づかぬ間に間違った情報に触れてしまうという面もあります。嘘や間違った情報にまどわされず、正しい知識を身につけて効率的にトレーニングを行いましょう。