ブレストレーニングという言葉は、スポーツをやっている方以外にも、吹奏楽器を演奏する方や歌を歌っている方は、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ブレス(breath)= 呼吸、息つぎ という意味があり、すなわちブレストレーニングは、呼吸や息つぎのトレーニングを行うことを指します。
ここでは、スポーツを行う際にも役立つブレストレーニングの方法や、ブレストレーニングによる効果などをお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ブレストレーニングとは?
そもそもブレストレーニングとはどのようなトレーニングなのでしょうか。ここでは呼吸のしくみや人間の活動から、ブレストレーニングについて解説します。
● 呼吸や息つぎのトレーニング
ブレストレーニングとは、呼吸機能を鍛えるためのトレーニングです。ブレストレーニングについて、呼吸のしくみから紐解いてみましょう。
人間の身体は食べ物などの栄養を酸素で燃やし、エネルギーを取り出しています。つまり、生きていくために必要なエネルギーを生み出すために酸素を取り入れ、不要になった二酸化炭素を吐き出しています。
口や鼻から吸い込んだ空気は、気管を通って肺に送られます。しかし、肺そのものには、動かす機能が備わっていません。私たちが呼吸するときには、肋骨の間にある筋肉や横隔膜などを動かすことによって、肺の中の空気を出し入れしています。
このような呼吸のしくみから、ブレストレーニングとは、肺やそのまわり存在している呼吸に関わる筋肉を鍛えるためのトレーニングともいえます。
● 呼吸はあらゆる活動の基本
人間は、生命を維持するために常に呼吸を行なっていますが、その呼吸は、人間のあらゆる活動の基本となる動作ともいえます。
例えば、水泳やウォーキングなどの有酸素運動をするとき、呼吸によって体内に酸素を取り込み、その酸素をエネルギーに変えて筋肉を動かすことができます。また、歌を歌うときに歌声のもとになるのは呼吸であり、フルートやトランペットなどの吹奏楽器を演奏するときも吐き出した息によって音が鳴ります。
したがって、さまざまな活動の基盤をしっかりと作るためにも、まずは呼吸機能を高めることがカギとなります。
ブレストレーニングの効果
ブレストレーニングを行うことによって心身ともにさまざまなメリットがあることが分かりました。次に、実際にブレストレーニングを行う方法についてお伝えします。
ブレストレーニングを行うことで身体にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、ブレストレーニングによる5つの効果をご紹介します。
① 体力がアップ
ブレストレーニングによって、肺や呼吸に関わる筋肉が鍛えられると、呼吸によってより多くの酸素を体内に取り込めるようになります。その結果、運動をしていても息切れしにくく、疲れにくい身体となります。
呼吸機能が高まり、より長時間、より強度の高い運動を行うことができるようになると、よりいっそう全身の筋力が鍛えられます。このように、呼吸と運動の間によい循環が生まれます。
② 免疫力がアップ
新型コロナウイルスの感染の影響で、さまざまなメディアで「免疫力を上げよう」という言葉をよく聞くようになりました。免疫とは、細菌やウイルスの侵入から身体を守る防御システムのことです。そのため、免疫力が低下すると、インフルエンザなどの感染症や風邪にかかりやすくなってしまいます。
ブレストレーニングを行うことで全身の血液の流れがよくなると、免疫細胞のはたらきも活性化されるため、免疫力が高まるのです。
③ 心が安定する
ブレストレーニングを行うと、呼吸をつかさどる筋肉である横隔膜がしっかり動きます。この横隔膜には自律神経が密集しており、自律神経が刺激されることで副交感神経が活性化します。
副交感神経は睡眠のときやリラックスしているときにはたらきます。そのため、ブレストレーニングを行うことによって、気持ちが落ち着き、心が安定するといわれています。
④ 集中力がつく
ブレストレーニングを行なっている間は、自分の呼吸に意識を向けることができます。そして、ブレストレーニングによって多くの酸素を取り込めるようになると、脳に十分な酸素が行き渡り、頭がスッキリし集中力が高まります。ゆったりした気持ちで、自分のやるべきことに集中することができるでしょう。
⑤ 便秘予防
前述したように、ブレストレーニングを行うと深い呼吸によって横隔膜が大きく動くとお伝えしました。この横隔膜がしっかり動くことで、腸などの内臓も刺激されます。その結果、内臓のはたらきを高めてくれ、便秘などの予防にも役立ちます。
ブレストレーニングの方法
ブレストレーニングを行うことによって心身ともにさまざまなメリットがあることが分かりました。次に、実際にブレストレーニングを行う方法についてお伝えします。
● 「完全呼吸」を身につけよう
「完全呼吸」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。完全呼吸は、ヨガなどで行われている基本的な呼吸法のひとつです。胸式呼吸と腹式呼吸を同時に行い、さらに鎖骨や肩まわりまで大きく使って呼吸を行います。ここでは、完全呼吸の具体的な方法をお伝えしていきます。
(やり方)
1. 背すじを伸ばし骨盤を立てて、楽な姿勢で座る
2. 口から息をすべて吐き出し、余分な力を抜く
3. 鼻からゆっくりと息を吸いながら、お腹、胸、鎖骨の順に身体を広げる
4. 鼻からゆっくりと息を吐きながら、お腹、胸、鎖骨の順に身体を戻す
はじめのうちは、お腹と胸に手のひらをあてて、身体が広がっていくのを感じながら呼吸を行いましょう。完全呼吸を行うと、疲労感や肩こりの改善とともに、脳へも酸素が行き渡るため、心も安定するなどの効果が期待できるといわれています。
ほかにも肺活量を鍛えるトレーニングなど、さまざまな方法を下記の記事でもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
【[医師が解説!]肺活量を鍛える方法!肺活量エクササイズと注意点】
● 呼吸筋を鍛える器具も活用しよう!
ブレストレーニングは自力で行う方法以外にも、呼吸にはたらきかける専用の器具を使ったトレーニング方法もあります。ブレストレーニングを行うときにおすすめの器具が、呼吸筋トレーニングデバイス「エアロフィット」です。
エアロフィットは口にくわえて呼吸をし、横隔膜をはじめとする呼吸筋に直接抵抗を与えることで、肺機能を高めることができます。また、エアロフィットは50g以下と非常に軽量でコンパクトなトレーニンググッズなので、旅先にも手軽に持ち運ぶことができます。
トレーニングは1日5〜10分ほどで取り組むことができ、ご自宅でテレビを見ながらなど好きなときに好きな場所で行うことができます。ブレストレーニングを気軽に、習慣化したい方におすすめのグッズです。
ブレストレーニングを取り入れ、健康的に年齢を重ねよう!
ブレストレーニングを行うことで、体力や免疫力がアップするだけでなく、集中力の向上、精神の安定などの効果が期待できます。
呼吸は人間のあらゆる活動の基本となる動作です。また、健康な人であっても呼吸機能は加齢とともに衰えていくといわれていますが、ブレストレーニングは、そうした衰えの予防にもなります。
生活のなかにブレストレーニングを取り入れ、若々しく健康的に年齢を重ねることを目指しましょう。