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【医師が解説!】肺活量を鍛える方法!肺活量エクササイズと注意点

【医師が解説!】肺活量を鍛える方法!肺活量エクササイズと注意点

肺活量とは、肺の機能を表す指標の一つです。肺活量は年齢と共に低下していきますが、肺の動きを支える筋肉を鍛えることでアップさせることができます。

肺活量を鍛えると、運動時の息切れなどが改善するため活動性が上昇すると考えられています。そこで今回は、肺活量の鍛え方と注意点について医師が詳しく解説します。

 

肺活量が及ぼす身体への影響

まずは肺活量を鍛えることで身体にどのような効果があるのか詳しく見てみましょう。

① 肺活量は何を表す?

肺活量は、肺の機能を表す指標の一つです。最大限に吸い込んで吐き出すことができる量が肺活量であり、大人の男性であれば3000~4000㏄、女性であれば2500~3500㏄程度が標準とされています。

肺活量は肺の容積の目安となります。しかし、呼吸は横隔膜や肋間筋などの呼吸筋に支えられているため、これらの筋肉が衰えると肺活量は低下していくことに。肺活量は年齢を重ねるごとに低下していきますが、呼吸筋を鍛えることでアップさせることが可能です。逆に、若い方でも呼吸筋が衰えていると肺活量は低下していきます。

 

② 肺活量が及ぼす身体への影響

上述したように肺活量は肺の機能の指標です。肺は酸素を取り込む大切な臓器。私たちが生きていくには酸素を欠かすことはできないため、肺は命をつなぐ臓器とも言えます。

肺活量が低下すると、1回の呼吸で取り込むことができる酸素の量は少なくなります。そのため、身体を動かして酸素の必要量が多くなると呼吸回数が増えて「息切れ」などの症状を引き起こすようになります。

運動時に息切れしやすくなることで、運動から遠ざかってしまう方も少なくありません。その結果、運動不足による生活習慣病などのリスクが高まることも。全身に様々な影響を及ぼす可能性があります。

肺活量の排年齢が気になる方はこちらの記事も合わせてご確認くださいませ。

肺活量ってなに?肺活量の検査内容や肺年齢についても解説

 

③ 肺活量が高くなるとどんな効果が期待できるの?

逆に肺活量が高くなると、酸素を取り込む量が増えるため身体を動かしても息切れしにくくなり持久力が向上します。それに伴い、できる運動の幅も広がるため健康増進につながります。呼吸筋を鍛えればその分基礎代謝もアップしますので痩せやすい身体を作ることも可能です。

また、肺活量が鍛えられると大きくスムーズな発声ができるようになります。歌が趣味の方はもちろん、人まで話しをする機会が多い方も嬉しいメリットですね。

 

肺活量の鍛え方と注意点

では、肺活量はどのように高めていけばよいのでしょうか?おすすめの肺活量エクササイズをご紹介します。

① 身の回りのものを使って息を思い切り吐き出してみよう

肺活量を鍛えるには呼吸をサポートする呼吸筋を鍛える必要があります。呼吸筋を鍛えるには、「息を思い切り吸って吐き出す」という動作を意識するのがおすすめです。

お腹と胸を最大限に膨らませるようなイメージで息を吸い込み、最大限にへこませるように息を吐きだしてみましょう。胸やお腹、肩の筋肉が動いているのが分かるはずです。

単純に吸って吐き出すエクササイズのみでも効果がありますが、より効果を高めるには身の回りのものを活用した次のようなエクササイズがおすすめです。

・ストロー

ストローをしっかりくわえた状態で思い切り息を吸って吐き出しましょう。普通に呼吸をするよりも負荷が高くなります。慣れてきたら、ストローを少し潰して使うと空気の抵抗ができるためさらに負荷が高まります。

 

・ペットボトル

さらに高い効果を得たい場合は、ペットボトルを使用したエクササイズにトライしてみましょう。

息を思い切り吐き出した後に500mlの空のペットボトルをしっかりくわえて限界までボトル内の空気を吸い込みます。肺活量が鍛えられると吸い込んだ力でペットボトルが変形するようになるでしょう。

 

② 有酸素運動とストレッチ

運動を続けることで肺活量を鍛えることもできます。ダイエットなどで運動をしようと考えている方は同時に肺活量も鍛えて持久力アップを目指してみましょう。肺活量を鍛えるためにおすすめの運動は有酸素運動とストレッチです。

・有酸素運動

有酸素運動とは、筋肉が多くの酸素を取り入れながら行う運動のことです。ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどが挙げられますが、体脂肪を燃やす効果があることからダイエットに最適と考えられています。

有酸素運動は多くの酸素が必要なため、続けていると息が上がっていきます。息が上がると呼吸筋が多く使われるようになるため肺活量を鍛えることにもつながります。

きついと感じたときは、口をすぼめてお腹に力を入れながら「吸う」・「吐く」を意識したリズミカルな呼吸をしましょう。肺の中の圧が高まることで酸素を効率よく身体に取り入れることができるようになります。
理想的には20分以上の有酸素運動を週に3回ほど行うようにしましょう。

「運動と肺活量の関係」が気になる方はこちらの記事で詳しくご紹介しているので、ぜひご覧ください。

運動により肺活量の増加が期待できる?《肺活量を高める方法もご紹介》

 

・ストレッチ

呼吸筋を鍛えるには、柔軟性をキープすることも大切です。今回ご紹介したストローやペットボトルなどを使ったエクササイズも呼吸筋が硬くなった状態では胸やお腹を十分に膨らませたりへこませたりできないでしょう。

呼吸筋の柔軟性をキープするにはストレッチをすることが大切です。とはいえ、呼吸筋は身体の表面から触れることができないため、しっかりストレッチできているか分かりにくいのが難点。肋間筋など胸の筋肉を鍛えるには、両手を後ろで組んだまま両肩を閉じたり、両手を後ろに引き伸ばしたりするストレッチがおすすめです。

また、背中の筋肉を鍛えるには、腕を伸ばして胸の前で両手を組み、背中を丸めて思い切り息を吸い、吐きながら背中を伸ばすというストレッチがよいでしょう。

なお、首周りにも呼吸筋がありますので、デスクワークなどで首がこりがちな方は小まめに首を回したり横に倒したりしてこりをほぐしてあげましょう。

 

③ エクササイズ中に注意すべきこと

肺活量を鍛える目的に限りませんが、エクササイズは継続して行うことが大切です。また、無理なエクササイズを続けることで身体に過度な負担をかけるのも避けましょう。呼吸筋は鍛えるまでに時間がかかりますので、無理のない範囲で長く続けていくことが大切です。痛みや強い息苦しさを感じたときはエクササイズを中断して休んで下さい。

また、息を思い切り吸って吐き出すエクササイズは夢中で続けていると酸欠になってめまいなどの症状が現れることがあります。転倒など思わぬ怪我につながることもありますので、整理された広い空間で行うか椅子に座った状態で行いましょう。

肺活量のトレーニング方法はこちらの記事でも紹介しております。鍛えることによるメリットなども詳しくまとめていますので、ぜひお読みくださいませ。

【肺活量を増やす方法!】メリットや効果的なトレーニングとは?

 

肺活量を維持するために日常生活で気を付けることは?

エクササイズで肺活量を鍛えたら、それを維持することを目指しましょう。もちろんエクササイズを続ける方法もありますが、肺活量は日常生活に注意することで維持することができます。

最後に肺活量を維持するための注意点をご紹介します。

① 正しい姿勢

呼吸筋が最大限に働いて肺活量を高めるには正しい姿勢を心がけることが大切です。姿勢が悪いと肺が収まっている「胸郭」という空間が狭くなるためしっかりと息を吸い込むことができなくなります。

また、姿勢を正すことで鍛えた呼吸筋をキープすることができます。日ごろから姿勢を伸ばす習慣を身につけましょう。特に長時間デスクワークしている方は前のめりの姿勢になりやすいため注意が必要です。

 

② 呼吸の仕方

肺活量を維持するためには、胸だけで呼吸をするのではなくお腹も使った腹式呼吸を心がけましょう。腹式呼吸をすると横隔膜がしっかり上下に動き、胸だけで呼吸するよりもはるかに運動量が多くなります。

上述したように、横隔膜は重要な呼吸筋の一つ。肺活量を維持するのに必要な筋肉であるため、日頃からしっかり横隔膜を動かす呼吸法を意識すれば肺活量を維持することができます。

コツが分からない…という方はまずは寝た状態でトライしてみましょう。横になって両膝を立てた状態でお腹が膨らむように息を吸い込み、お腹の力を抜いて息を吐きだします。

ポイントは、エクササイズのように思い切り吸って吐き出すのではなく、自然な呼吸を行うこと。最初は難しいかもしれませんが、寝た状態で自然にできるようになると立ったり座ったりしているときも腹式呼吸ができるようになります。

 

肺活量を鍛えて活動的で健康な身体を手に入れよう!

肺活量が低くなると身体を少し動かすと息切れをしやすくなります。その結果、活動性が低下して身体能力がどんどん落ちていくことも珍しくありません。体力を維持するには年齢相応以上の肺活量を鍛えることが大切です。

肺活量は特別なトレーニングをしなくても日常生活の中で姿勢や呼吸法に注意し、簡単なエクササイズをするだけで鍛えることができます。今回ご紹介したトレーニングを無理のない範囲で継続し、活動性をアップして健康でスリムな身体を手に入れましょう。

 

執筆者 成田 亜希子 医師

2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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