肺活量は、日常生活はもちろん、スポーツや楽器演奏など私たちのさまざまな活動と密接に関わっているため、肺活量を増やす方法について気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、肺活量を増やすことでもたらされるメリットや、肺活量を増やすための効果的なトレーニング方法について解説します。肺活量が少ないと感じている方や、肺活量を増やしたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
肺活量は増やせるの?
肺活量とは、通常の呼吸状態で空気を胸いっぱいに吸い込み、それをすべて吐き出したときに、肺の中を出入りする空気の量です。
肺活量の基準値や根本的な肺の仕組みなどについてはこちらの記事でくわしくご紹介しているので、合わせてご確認ください。
肺活量が低いとスポーツや登山などのアクティビティをしていても息切れを起こしてしまったり、カラオケや吹奏楽器を演奏する際にすぐに疲れてしまったりします。しかし、この肺活量は、呼吸にかかわる筋肉を鍛えたり、呼吸法を変えたりすることで増やせるといわれています。
肺活量を増やすメリット
肺活量は、性別、年齢、体格などによって異なり、一般的に加齢とともに低下するといわれています。しかし、肺活量を増やすことによって私たちの身体にさまざまなメリットがありますので、一つずつ見ていきましょう。
肺活量の平均的な数値や肺活量の測定方法はこちら記事でくわしくまとめていますので、ぜひご覧ください。
● 体力がアップする
体力、つまり身体の持久力をアップさせるためには「最大酸素摂取量」をアップさせる必要があるとされています。最大酸素摂取量とは、単位時間あたりに摂取できる酸素の最大量のこと。この量が大きいほど運動強度の高いスポーツを長時間行うことができます。
私たちは呼吸をすることで酸素を体内に取り入れ、さまざまなエネルギーに変えて運動しています。つまり酸素をより多く体内に取り入れられることは、運動エネルギーもより多く作り出せるということになるので、肺活量をアップさせると体力もアップするといえます。肺活量を鍛えることは結果的に体力を向上させ健康維持にもつながっていくのです。
● 痩せやすくなる
前述したように肺活量を増やすと、最大酸素摂取量が増えるため体力がアップし、ダイエットに効果的な有酸素運動を長時間、続けることが可能となります。
また、人間の身体は体内に取り入れる酸素が多ければ多いほど、身体全体の血管を活性化させ血流を促し、結果として基礎代謝量がアップします。基礎代謝量がアップするほど、脂肪を燃焼しやすく太りにくい身体になります。
● 免疫力がアップする
新型コロナウイルスの影響により免疫力に注目が集まっていますが、免疫力とは身体をウイルスや細菌から守り、健康な状態を保つ力のこと。
肺活量が増えると、身体に取り込める酸素の量が増えるため、身体が温まって血流が促進されます。そして血液に含まれる免疫細胞が活性化されることで、免疫力アップにつながります。
肺活量を増やす5つのトレーニング方法
肺活量を増やすことで、日常生活やスポーツなどの活動にさまざまなメリットがあることがわかりました。では、実際にはどのような方法で肺活量を増やすことができるのでしょうか。ここでは5つの方法をご紹介します。
①どこでもできる「腹式呼吸」
肺活量を増やすための鍛え方の王道が「腹式呼吸」です。腹式呼吸は、しっかりと横隔膜などの呼吸筋を鍛える呼吸法となります。ただ呼吸を深くすればいいのではなく、お腹に手を当てて、しっかりとお腹が動いているか確認しながら行うようにしましょう。
(やり方)
1.背すじを伸ばして、鼻から深く息を吸い込む。息を吸うときにお腹を膨らませる
2.息を口から吐き、吐くときにはお腹をへこませ、胸郭を小さくして肺の中の空気を外へ押し出す
②吸う力を鍛える「ペットボトル潰し」
ペットボトルを使った鍛え方は自宅で手軽に行いやすいことが特徴です。使うペットボトルのサイズは2リットルのものが好ましく、なるべく柔らかいものからはじめましょう。
(やり方)
1.限界まで息をゆっくりと吐き、体内の空気を全て吐き出す
2.吐ききったら、空のペットボトルをくわえペットボトルを潰すイメージで空気を吸い込む
③ランニング
肺活量を増やすにはランニングもおすすめです。ランニングのメリットとして、有酸素運動を行うので体が鍛えられ体質の改善にもつながります。
初めから長い距離を走るとけがの原因になりますので、1kmほどからはじめて徐々に増やすという方法が良いでしょう。ランニングにおける呼吸法についてはこちらの記事で紹介しているので、ぜひお読みください!
④水泳
水泳もランニングと同じ有酸素運動のひとつです。息継ぎによって呼吸筋が鍛えられるのはもちろんのこと、全身を使う運動なので身体全体を平均的に鍛えることもできます。
また、水中では、水の抵抗によって、いつものトレーニングを行っただけでも陸上で行うよりさらに負荷をかけることができます。身体が十分な量の酸素を血液に送り込むのに時間がかかり、それだけ肺に負荷をかけることができます。
⑤グッズを使って鍛える「エアロフィット」
エアロフィットは北欧の国デンマーク生まれの、呼吸筋を鍛えるために開発されたトレーニングデバイスです。横隔膜と肋間筋を中心とした呼吸筋に直接刺激を与え、肺活量の向上にも役立ちます。

エアロフィットは手のひらに収まるコンパクトサイズで、口にくわえて使用するグッズのため、場所もとらず手軽に取り入れることができます。わざわざ運動をする時間が取れない方や呼吸筋のトレーニングを習慣化したい方におすすめです。
トレーニングをする上での注意点
肺活量を増やすためのさまざまなトレーニングをご紹介しましたが、これらのトレーニングを行う上で注意するべきことをお伝えします。
①頭がフラフラする前にやめる
肺活量を鍛えるということは、酸素を限界まで吐き出すのを繰り返すことになります。これによってめまいや頭痛、吐き気を感じるケースもあるので、なるべく一人きりで練習するのは避けましょう。
肺活量を増やすトレーニングの効果的を実感するためには限界まで空気を吐き出さなくてはいけませんが、無理は厳禁です。ご自身の体調を注意深く観察しながら、慎重にトレーニングを進めるようにしましょう。
②こまめな水分補給
空気を吐き出すと同時に体内の水分も外に出ています。こちらもめまいや吐き気などの原因になるため、なるべくこまめに水分を補給するようにしてください。ランニングだけでなく、水泳など水中で練習するときも水分補給は必須です。
③継続は力なり
肺活量に影響を与える横隔膜などの呼吸筋はインナーマッスルと呼ばれ、身体の奥に位置しているため手で触れたり目で確認したりすることはできません。そのため、変化が感じにくくトレーニングのモチベーションが保ちにくいのも事実です。
しかし、トレーニングを続けることで確実に筋肉は鍛えられ、「疲れにくくなった」「体力がアップした」などの効果を実感できるはずですので、毎日少しずつでも継続しましょう。
トレーニングする上での注意点に気をつけながら、肺活量を増やそう
肺活量を増やすことで、痩せやすい身体作りや、健康な身体作りができ、その状態もキープしやすくなります。
しかし、肺活量は一朝一夕に鍛えられるものではなく、ご紹介したような自宅でのトレーニングや簡単なスポーツによって、徐々に鍛えていくことができます。トレーニングする上での注意点に気をつけながら、ご自身の状況に応じてトレーニング方法を選択し、肺活量アップを目指しましょう。