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呼吸筋を鍛えるためのストレッチとは、どのようなもの? そしてその効果とは?

呼吸筋を鍛えるためのストレッチとは、どのようなもの? そしてその効果とは?

スポーツをする前には、怪我の防止のためにストレッチをすることは今や常識となっています。実は人間の「呼吸」を司っている体の器官の一つが呼吸筋と呼ばれる筋肉です。

では、この呼吸筋を鍛えたりストレッチすることで、どのようなメリットが体に現れるのでしょうか。いや、そもそも「呼吸筋」を鍛えるストレッチというものはあるのでしょうか。こうした疑問に対する答えを、この記事で明らかにします。

 

呼吸筋は、体のどこにある?

人間の呼吸をつかさどる体の器官は肺です。しかし、呼吸をする時には肺自体が動いているわけではありません。

実際には肺の周りの筋肉が動くことで、肺が大きくなったり小さくなったりを繰り返し、呼吸しているのです。つまり、人間が呼吸するには肺ではなく肺の周囲の筋肉が動く必要があるのです。

このように肺を動かす筋肉をはじめとして、呼吸に関わる筋肉群が「呼吸筋」と呼ばれていますが、その呼吸筋の中でも特に重要となる筋肉が次の3つです。

①横隔膜

肺のすぐ下にあって、いわゆる「腹式呼吸」をすると最も大きく動く筋肉です。

「膜」と名前がついていますが、立派な筋肉の一部で、ドーム型をしています。この横隔膜が上がって収縮すると胸が広がり、肺の中に空気を取り込むことができます。そして、横隔膜が弛緩してさがると、肺がちいさくなり空気が口や鼻から排出されます。

ちなみにしゃっくりは、この横筋膜をコントロールしている神経がなんらかの原因で刺激された結果として起こるものと言われています。

人間が安静にしている時の呼吸の70%はこの横隔膜が動くことで保たれていると言われており、呼吸をつかさどる筋肉の中でも特に重要な筋肉がこの横隔膜なのです。

 

横隔膜に関してはこちらの記事でも紹介しているので、合わせてお読みくださいませ。

 

②胸鎖乳突筋

胸鎖乳突筋は首と胴体をつなげる筋肉の一つです。

胸骨・鎖骨から側頭部にかけて位置しており、顔を横に向けた時に、首に沿って縦に走る筋肉が胸鎖乳突筋です。見た目は小さな筋肉ですが、ここの筋肉が固まってしまうと胸骨・鎖骨がスムーズに動かなくなり、その結果として、胸式呼吸をするのが難しくなります。

また、肩こりがひどいときにもこの筋肉が固まっていることが多いのです。このことは肩こりによって呼吸筋が動きにくくなり、呼吸が浅くなってしまっているということになります。現代社会ではパソコンやスマートフォンを見る時間が増えたために、胸鎖乳突筋が常に緊張状態にあり呼吸が浅くなっている人が多いのです。

③外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋

いわゆる伝統的な「腹筋運動(膝を曲げて仰向けになり、頭を起こすような運動)」をすると、直接刺激を受けることになるお腹の筋肉が外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋の3つの筋肉です。

すべて体感を支える重要な筋肉ですが、外腹斜筋・内腹斜筋と比べると腹横筋は体の深い部分にあります。外腹斜筋と内腹斜筋は体(胴体)をねじったり曲げたりする時に使われます。人間が呼吸するとき、この3つの筋肉は主に息を吐くために使われます。深呼吸をする時に思い切り息を吐くと、お腹の部分が凹んでいくのがわかりますが、この時凹んでいるのが外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋のある場所です。

この3つの筋肉を鍛えるためには腹筋運動と同様に、息を吐いたり吸ったりすることも立派なトレーニングになりえるということになります。

 

呼吸筋を鍛えることで、こんなメリットがある!!

呼吸筋を鍛えることにより、普段の呼吸が深くそして強い呼吸がしやすくなるであろうことは、誰もが予想できる範囲と言えるでしょう。

では、呼吸が深くかつ強くなることにより、人間の体にはどのようなよい影響が現れると予想されるのでしょうか。主に次の3つの変化が体に現れると考えられます。

①全身に酸素が行き渡りやすくなり、持久力が上がる。

まず、深い呼吸ができることで、体の中に取り込むことのできる酸素の量が増えると考えられます。

体の中の酸素量が増えると、一般的には持久力が向上します。つまり、運動をしても体が疲れにくくなります。このことはマラソンやジョギング、水泳、自転車のような持久系のスポーツをする人には、重要な体の変化となるでしょう。

また特別な運動をしない人にとっても、全身の酸素量が増えることにより、日常の生活の中で階段や坂道を登るのが苦にならなくなります。

身体が疲れにくくなるので、日常生活での活動量が増えることでしょう。

②脳に酸素が行き渡りやすくなり、集中力が増す。

体に取り込むことができる酸素の量が増えると、もちろん脳にもより多くの酸素が行くようになります。

実は酸素が不足すると、真っ先に影響を受ける体の器官が脳なのです。脳の酸素量が増えると気分がリフレッシュされ、集中力が増す可能性があります。

また、緊張したときなどに心を落ち着けるために深呼吸することがありますが、脳への酸素量が増えることで、精神的に安定し、心が不安に負けにくくなる効果もあります。

酸素量が増えると、体だけでなく心と脳にも良い影響を与える可能性があるのです。

③体幹が強くなる。

人間は一日に約2万回の呼吸をすると言われています。

呼吸筋を鍛えると、呼吸している間は常に体の筋トレをしているような形になるので、体幹が強くなります。その結果として、お腹を始めとする脂肪も減りやすくなり、筋肉もしっかりつくので見た目もスタイルの良い体になる可能性があります。

また、筋肉がつくことにより、運動しやすい体になりますので、スポーツをする方は今まで以上に楽しめるようになるでしょう。

 

呼吸筋を鍛えるストレッチ3種類

ここでは、呼吸筋を鍛えるための具体的なストレッチの仕方を解説します。とはいえ、動き自体は簡単なものばかりですので、呼吸に意識を向けて、ゆっくりとしたリズムで行いましょう。

①胸のストレッチ

  1. 足を肩幅に開いて立つ。肩の力を抜きましょう。
  2. 両手を伸ばした状態で胸の前で組み、息をゆっくりと吐ききる。
  3. 背中を丸めながら息をゆっくりと吸い、組んだ両腕を前方に伸ばす。
  4. 最後に息を吐きながら背中と両腕を最初の状態に戻す。
  5. 1~4を繰り返す。

②胸郭のストレッチ

  1. 足を肩幅に開いて立つ。肩の力を抜きましょう。
  2. 両腕を背中で組み、息をゆっくり吸いながら、両肩を前方で閉じるようにする。このとき体を前に倒さないように注意する。
  3. 続けて息をゆっくり吐きながら、背中で組んだ両手を斜め上の方向に持ち上げる
  4. 最後に息を吸いながら両手を外し、元の姿勢に戻る。
  5. 1~4を繰り返す。

③背中のストレッチ

  1. 足を肩幅に開いて立つ。
  2. 両手を頭の後ろで組み、ゆっくりと息を吸う。
  3. 頭の後ろにある両手を上に伸ばし、ゆっくりと息を吐ききる。
  4. ゆっくりと息を吸いながら腕をおろし、元の姿勢に戻る。
  5. 1~4を繰り返す。


この3つのストレッチを一日4~5回ほど行うことで、呼吸筋の緊張がほぐれ、同時に呼吸筋を鍛えることもできます。

くれぐれも呼吸をする時は焦らず、ゆっくりと吐いて、吸って、吐いてを繰り返しましょう。

 

呼吸筋ストレッチを日常的に取り入れて、快適な生活を

人間が生きていくために必要不可欠な「呼吸」をつかさどる「呼吸筋」。この筋肉を意識してストレッチすることで呼吸がしやすくなり、より多くの酸素を体中に取り入れられるようになります。その結果として持久系のスポーツのパフォーマンスが上がりやすくなますし、スポーツをしない人も体が疲れにくくなったりします。

また体だけではなく、心や脳にも好影響を与える可能性もあります。日常に呼吸筋ストレッチを取り入れて、日頃忘れがちな呼吸の大切さを意識してみましょう。

 

呼吸筋における具体的なトレーニング方法はこちら記事で紹介しているので、参考にしてみてください。

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