あがり症に人にとって、人前で何かを話したり発表したりというのは、かなりの緊張感を伴います。また、特別あがり症ではない人であったとしても、新しい環境に入ったり、なれない状況に出会ったりしたら、人間なら誰しも緊張するものです。
でも、緊張のし過ぎでパフォーマンスが落ちてしまっては、残念ですよね。今回の記事では、緊張をコントロールする方法の一つとしての呼吸法をご紹介いたします。
緊張するのは悪いことではない
あがり症で悩む人もいますし、日頃ほとんど緊張しなくても、特定の場面だけでとても緊張する人もいます。一見パフォーマンスを低下させる悪役のように見える緊張ですが、実は「緊張することは悪いことでない」のです。
緊張をコントロールできる様になるための要因の一つは、心理的なもの。緊張感は敵ではなく味方なのだと思えるだけで、緊張感が和らぐのではないでしょうか。ここではそんな緊張感を味方につける考え方をご紹介します。
① 緊張は人間の自然な現象の一つ
人間が緊張している状態というのは、交感神経が活発に働いている状態です。交感神経は、体を活動させるための神経です。
基本的に神経細胞の働きは、人間が意識的にコントロールできるものではありません。つまり、緊張するのは人間として当然の生理現象であるということになります。
② 自分が緊張しているときは、他の人もみんな緊張しているもの
緊張が人間の生理現象ということは、人間である限り全員に起こっているということになります。つまり、同じような状況にいる人は、自分のようにみんな緊張しているものと考えても良いということです。
人により、その緊張感が態度や口調・行動などを通して表に出やすい人もいる一方で、緊張感が表に出にくい人がいたりしますが、基本的には人類皆緊張しているということになります。
ですから、自分が緊張しているときには、他の人も緊張しているものと考えても良いでしょう。
③ 緊張している自分を責めないこと
緊張は生理現象なので、感じて当然の感情です。そのため、緊張を感じている自分を責める必要は全くありません。また、緊張しているということは、交感神経が動いている状態なので、体や脳そして心が「活動OK」というサインを送っていると考えることもできます。
体も心も活動するための準備ができたのですから、自信をもって動き出しましょう!
緊張を和らげる呼吸方法はコレ
緊張するのは人間にとって当然のことであったとしても、緊張によりパフォーマンスが下がるのは避けたいところです。全く緊張しないようにすることは不可能ですが、少しの工夫で緊張感をコントロールすることができます。
緊張のしすぎで悩む人は、次のような緊張のコントロール方法を取り入れてみることをおすすめします!
① 腹式呼吸法
緊張を感じたら、まずは腹式呼吸をしてみましょう!
やり方はとても簡単。「息を口からハーッと長く吐く→鼻から息をスーッと入れる」の繰り返しです。余裕のある人は、鼻から息を吸った後に3秒ほど呼吸を止めてみても良いでしょう。
大切なことは、息を吐く時にしっかりお腹を凹まして横膈膜を動かすことです。横膈膜の辺りには神経細胞が集中しているので、横膈膜を動かすと、交感神経と副交感神経のバランスが整いやすくなり、緊張がコントロールしやすくなります。
② 丹田呼吸法
丹田とはおへそから5cmほど下がった体の部分で、体全体のエネルギーが集まる場所といわれています。丹田呼吸法とは、この丹田を意識して腹式呼吸する方法です。
出典:呼吸が一番の健康法 大阪整体フォーリーフカイロプラクティック
やり方自体は、難しいものではありません。「丹田の辺りに両手を置く→丹田を凹ますつもりで息を吐く→丹田を膨らますつもりで息を吸う」ことの繰り返しです。
丹田を意識ながら呼吸すると横膈膜が動きやすくなる人も多いので、緊張が和らぐ人も多いかもしれません。
③ 漸進性筋弛緩法
この漸進性筋弛緩法は、呼吸法ではありません。具体的には「体の部分に力を入れる→力を抜く」という動きを繰り返します。
出典:寝ても疲れ取れない、どんな運動が有効?
例えば、「手のひらをギュッと握る→手のひらを開く」・「両肩をぎゅっと上げる→力を抜いて方をストンと落とす」・「目をぎゅっとつぶって奥歯を噛みしめる→目を口をぱっと開ける」という動きをしてみましょう。こうした動きを繰り返すうちに、体が暖かくなることに気がつく人もいるかも知れません。
緊張していると自分の体の動きもコントロールできなくなります。しかし漸進性筋弛緩法により体の動きがコントロールできると、緊張もコントロールできるようになります。あがり症で悩む人は、漸進性筋弛緩法を取り入れてみましょう。
緊張のしすぎで、息苦しさを感じたら
緊張すると、息苦しさを感じる人は少なくありません。そこまでひどくなくても、人間の生理現象として、緊張すると呼吸が浅くなりがちです。
逆に呼吸を深くすることができると、緊張を和らげることができます。緊張した状態でも、呼吸をしやすくなる方法としては、次のような方法があります。
① 呼吸筋のストレッチも有効
呼吸筋は上半身にある、呼吸をつかさどる筋肉群です。この呼吸筋をストレッチでリラックスさせると、楽に腹式呼吸ができるようになります。
腹式呼吸ができるようになると、緊張で浅くなった呼吸を深い呼吸に帰ることができるようになります。呼吸筋のストレッチの方法は、この記事で見ることができます。
② 体をあたためる
緊張している時、すなわち交感神経が活発に動きすぎているときには、血管が収縮し、体温が下がっています。逆に体を温めると副交感神経が活発になりリラックスできるようなるため、夜寝る前には体を温めたほうが眠りやすくなるのです。
昼間に仕事中に緊張してしまったときには、手を暖めるだけでも副交感神経が働き、楽にリラックスできるようになります。リラックスすると腹式呼吸ができるようになるので、緊張による息苦しさを軽減することができますよ。
③ 思い切り息をながーく吐いてみる
呼吸筋のストレッチをやる時間はないし、体を温める事もできない。そんな時に緊張してしまった時には、とにかく息をながーく吐き出してみましょう。
息を吐き出すときは、腹筋を十分に使ってお腹を凹ましてとにかく長い時間をかけてみましょう。息を吸うときは普通に息を吸い、再度ながーく息を吐き出します。これを3回位繰り返すと、緊張がほぐれるでしょう。
呼吸のコントロールして、緊張感もコントロールできるようになろう
緊張するのは人間として当然のこと。でもその緊張感をコントロールしてパフォーマンスの向上につなげたいという思いは、きっと沢山の人が持っている願いと言えるのではないでしょうか。
緊張をコントロールできるような呼吸法を取り入れることで、どんな状況でも自分の力を100%発揮できるようになりますよ。焦らず、少しずつ、深くゆっくりとした呼吸法をマスターしましょう。