現代社会では、不眠に悩む人が意外と多いもの。また、日頃は特に不眠に悩んでいない人でも、旅行などで寝る場所が変わったり、海外での時差ボケなどの影響で、一時的に眠れなくなることは、珍しくありません。
とはいえ、薬などに頼ることには、抵抗を覚える人もいることでしょう。そうしたときは、安眠を誘いやすい呼吸法をマスターすることで、不眠の苦しみから開放されるようになるかもしれません。
そこで今回は、ぐっすり眠るための呼吸法をご紹介いたします。
現代社会は不眠社会
実は現代社会は、様々な理由により不眠になりやすい社会です。夜に眠ることが難しい社会となってしまった背景には、どのようなことがあるのでしょうか。
① 心も体も24時間やすまず活動する社会
その昔、人間は日が昇ったら起きて働き、日が沈んだら寝るというサイクルで生活をすることが一般的でした。しかし、現在は経済・社会活動が複雑化し、地球の裏側にある企業と取引していたり、情報をリアルタイムで見る必要のある職業の方が増えてきました。
そのため、例えば、日本で夜になっても、地球の裏側は昼間で経済活動をしていることになるので、日本に暮らす人は夜も寝ないで地球の裏側からに情報に注目していなくてはなりません。
たとえ、体は日本で寝ていたとしても、日本の裏側の状況が気になっていては、安眠することは難しいでしょう。また、様々なストレスにより、悩み事があるためよる眠れないケースというのも増えています。
そのような状況では、夜に体と心をしっかり休めることは難しい時代であると言うことができるでしょう。
② PCやスマホの利用で脳も常に緊張状態
今は多くの人がスマートフォンやタブレット、PCの画面を常に見ているような状況です。このような画面からはブルーライトがでており、目にはかなり強い光の刺激となります。その結果見続けていると、目を酷使すると同時に、目の周りの筋肉も酷使することになります。
同時に夜にブルーライトのような強い光の刺激を目で見ていると、体は「朝が来た」ものと勘違いして、体内時計が活動モードになってしまいます。そのため夜にブルーライトを浴びると、夜に眠ることが難しくなります。
もちろん、目に刺激の強い光は脳にも強い刺激になるため、ブルーライトにより脳自体も夜に活発モードになり、一層眠れなくなってしまうのです。
③ 不眠は心と身体を不健康に
不眠は人間を一気に不健康にします。不眠により体の抵抗力も下がりますし、仕事や勉強をすすめるための集中力も低下します。
体内の様々なホルモン分泌もバラスが崩れ、女性は特に生理が止まってしまうなどのことも起こります。急激に太ったり、逆に痩せたりする人も少なくありません。
不眠は人間のからだにとって大きなストレスとなるので、注意しましょう。
呼吸法をかえると、どうして眠れるようになるのか?
不眠に悩む人は多いものの、病院に行くっことに躊躇したり、薬に頼るのはちょっと、と思う人は多いもの。そんな人は、まず寝る前の呼吸法を少し変えることにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。呼吸法を変えることで心身に副作用もでることはありませんし、金銭的なコストはゼロ。不眠解消の最初の一歩として、呼吸法を変えることには、他にもいろいろなメリットがあるのです。
① 交感神経と副交感神経の切り替えができるようになる
基本的に交感神経は心身を「動かす」神経であり、副交感神経は心身を「休ませる」神経です。
この交感神経と副交感神経は、自分で意識して刺激を与えることができる神経ではなく、またストレスなどがかかるとこの2つの神経のバランスが崩れ、その結果眠れなります。
しかし、横になって深い呼吸をすることで、副交感神経が優位に働きリラックスしやすくなり、よく眠れるようになります。
② 体中に酸素が行き渡り、末端神経が暖かくなる
呼吸法が変わり、深い呼吸ができるようになると、体中に酸素が行き渡るようになります。その結果、末端神経にまで酸素が行き渡り、手足の先の血管にまで血液が循環し始めます。
すると手足の先の体温が上がり始めます。人間の体は手や足が暖かくなると眠りやすくなるのです。
③ 幸せホルモン「セロトニン」が分泌されるようになる
副交感神経が優位に働き、体がリラックスすると人間の脳内に通称幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」が分泌されます。その結果心が落ち着き、楽に眠りに入ることができるようになります。
このように、呼吸法を変えることでリラックスすることが簡単になり、結果として不眠が解消される可能性があるのです。
安眠をもたらす呼吸法はこれ
不眠を解消し、安眠をもたらすとされる呼吸はよくいわれる「深い呼吸」ですが、この「深い呼吸」にもいくつか種類があります。ここでは3種類の呼吸法をご紹介します。
① 腹式呼吸法
これは普通の腹式呼吸をもう少しゆっくりとしたペースで行うものです。具体的な方法としては「鼻から息を吐き出しながらお腹を凹ます→鼻から息を吸い込みながらお腹を膨らます」という動作を繰り返します。
鼻から息を吐く時にゆっくり長い時間かけるつもりで息を吐くと、腹筋が鍛えられやすくなります。また「逆腹式呼吸」というのもあり、それは「鼻から息を吐き出しながらお腹を膨らます→鼻から息を吸い込みながらお腹を凹ます」という動きを繰り返すものです。
こちらも腹筋が動いて、酸素を体に取り込みやすくなりますので、ぜひ取り入れてみましょう。
② 丹田呼吸法
丹田とはおへその5cmほど下にあるツボです。一般的に「気力が集まるツボ」として知られており、興奮した気持ちをこの丹田に持ってくると心と身体が落ち着くといわれています。この丹田を意識した呼吸法が、丹田呼吸法です。
やり方は、「丹田の場所に両手を置いて、その場所を意識しながら息を吐き出す→丹田に両手を置いたまま息を吸う」ということを繰り返します。
基本的な動きは腹式呼吸のときとほぼ同じものですが、イメージとしては、丹田を膨らませたり凹ませたりしているつもりで呼吸します。
③ 478 呼吸法
「4秒かけて息を吸う→7秒間息を止める→8秒かけて息を吐く」という呼吸を繰り返すものです。この記事でこの呼吸のやり方を解説しています。
この呼吸法はヨガでも取り入れられているもので、かんたんに誰でもできることが特徴の呼吸法です。
呼吸法をマスターして、健やかな眠りを取り戻そう!
不眠のお悩みというのは、かなり大きなストレスとなります。しかし、呼吸法を工夫することで、人間の副交感神経が働きやすくなり、その結果、夜もよく眠ることができるようになります。
人間、よく眠れるようになれば、大半の問題は解決できるもの。呼吸法をマスターして、安心して眠れる夜を取り戻しましょう。