人間は1日に2万回以上「呼吸」をするといわれます。呼吸をつかさどる体の器官はもちろん肺ですが、実は肺自体が動いて呼吸しているわけではありません。
つまり、肺を動かすたの筋肉が動くことで、肺が動き体内に空気が出たり入ったりするのです。そんな呼吸のために動く筋肉を呼吸筋といいます。
そこで今回の記事ではは、体の中にある呼吸筋の名前と位置、そしてそれらの覚え方までご紹介いたします。
呼吸筋はどこにある?
人間が呼吸をするときに、主に働く体の器官は肺です。確かに肺で空気の交換が行われるわけですが、実際に動くのは肺の周りにある筋肉です。
こうした呼吸をコントロールする筋肉群を「呼吸筋」といいます。主要な呼吸筋の名前と覚え方は、次のとおりです。
①胸部(覚え方: 肺を動かす内外肋間と横隔膜)
胸の部分にある主な呼吸筋は内肋間筋と外肋間筋、そして横隔膜の3種類です。この3種類の筋肉は肺の位置する胸部の空間である「胸腔」を広げたり狭めたりする機能を持ちます。
そしてこの「胸腔」が広がったり狭くなったりすることに付随して、肺の中に空気を取り入れたり、肺から空気を吐き出すことができるのです。例えば猫背になると呼吸がしにくくなるのは、この胸部の筋肉がうまく働くことができなくなるためです。
②腹部(覚え方:腹を凹ます内外腹斜と腹直筋)
腹部にある主な呼吸筋は内腹斜筋と外腹斜筋、そして腹直筋と呼ばれるものの3種類。よくトレーニングで行われる「腹筋運動(仰向けになり、膝を立てて上半身を起こす運動)」をすると痛くなるお腹の筋肉が、この3つの筋肉に相当します。
この腹部の呼吸筋は主に、息を吐き出すときに動く筋肉になります。思いっきり息を吐き出すとお腹の部分が凹みますが、この凹むお腹が内腹斜筋と外腹斜筋、そして腹直筋のある位置となります。ちなみに、腹部にはこの3つ以外にも呼吸筋があります。
③首部(覚え方:吸うのは首の僧帽・斜角と胸鎖乳突筋)
実は胸より上の部分である首や肩のあたりにも呼吸筋があります。まず、肩から背中にかけて広がる僧帽筋や斜角筋、また鎖骨と頭をつなぐ首の筋肉である胸鎖乳突筋も呼吸するときに働きます。
この3つの筋肉は主に息を吸い込むときに動く筋肉で、いわゆる「肩こり」のときに緊張している筋肉群でもあります。つまり、肩こりに苦しむ人は、呼吸筋がうまく働いていない状態であるということもできるのです。
胸部にある呼吸筋( 肺を動かす内外肋間・横隔膜)
呼吸筋の中で最も重要な胸部の筋肉群である3種類の筋肉の位置情報や特徴は以下のようになります。
①外肋間筋
外肋間筋は肋骨にある筋肉の一つです。実は肋骨には3種類の肋間筋があり、その中の一つがこの外肋間筋です。主に安静の呼吸に関わる筋肉で、外肋間筋が収縮すると肋骨が前上方に持ち上げられて、胸郭が拡がります。
その結果肺が広がり外気が肺の中に入ります。つまり、外肋間筋は息を吸うときに働く呼吸筋になります。
②内肋間筋
内肋間筋は肋骨にある筋肉の一つです。実は肋骨には3種類の肋間筋があり、その中の一つがこの内肋間筋です。
外肋間筋の裏側に位置する筋肉で、運動したときなどに主に動く筋肉です。逆に安静時にはこの内肋間筋は動かない傾向にあります。
③横隔膜
横隔膜は肋骨の下にあるドーム型をしており、膜と名前がついてはいますが筋肉の一部です。ちなみに焼き肉で「ハラミ」と呼ばれる部位がありますが、ハラミは牛の横隔膜にあたります。
横隔膜が下がることにより、胸郭のスペースが広がると同時に肺も大きくなり、外から外気が肺に入ります。また、横隔膜が上がると胸郭のスペースが狭まって肺自体も小さくなり、そして肺から空気が吐き出されます。
また、横隔膜は胃を始めとする内蔵を上からぶら下げる働きも持っているため、かなり働き者の筋肉であると言えるでしょう。ちなみに「しゃっくり」は、この横隔膜が何らかの理由で痙攣することで、発生するといわれています。
呼吸をに関わるおもな胸部の呼吸筋は上記の③つになります。覚え方は「肺を動かす内外肋間・横隔膜」という形になります。
腹部にある呼吸筋(腹を凹ます内外腹斜と腹直筋)
腹部にある呼吸筋は、実はたくさんあります。腹部にある筋肉は4層構造となっており、その中でも主要な筋肉は次の3つになります。
①外腹斜筋
通称「横腹」と言われる場所にあるのが外腹斜筋です。肋骨から骨盤の内部に広がっている筋肉で、腹部の4層になった筋肉の中でも表面にあります。体幹を右や左にひねるときに動く筋肉で、脇腹が筋肉痛になったとき痛くなる筋肉です。
呼吸筋としては、息を吐くときに働き、特に腹式呼吸で深い深呼吸をしたときによく動く横腹の筋肉が外腹斜筋にあたります。ちなみにこの筋肉を鍛えるときれいな「くびれ」が生まれます。
②内腹斜筋
横腹にある筋肉の一つで、外腹斜筋と交差するような位置にある筋肉です。腹部の4層になった筋肉の中でも3番めの層にある筋肉です。体を丸めるときあるいは体を右や左にひねるときに動く筋肉で、呼吸するときには、やはり息を吐くときに使われる筋肉の一つとなります。
また、肋骨の下から腰に向かって広がる筋肉なので、深く腹式呼吸をしたとき、両側の腰のあたりの筋肉が膨らんだり動いたりすることに気がつくことがありますが、その部分の筋肉が内腹斜筋になります。
③腹直筋
腹直筋を鍛えると「シックスパック」と言われる筋肉になります。腹部の4層の筋肉の中でも最も表層にある筋肉で、やはり呼吸時には息を吐くときに使われる筋肉です。腹直筋は上の部分と下の部分に分かれています。
通常の筋トレであれば、上下それぞれの部分を鍛えるメニューをトレーニングに取り入れる必要があります。しかし、呼吸筋として腹直筋を鍛えると、上下の筋肉が一緒に動くため、効率的に鍛えることができます。
このように腹部にある主要な呼吸筋は、息を吐くときに使われる筋肉になります。また、この3つの筋肉は鍛えて腹の脂肪が減ると、お腹を凹ませることができる筋肉でもあるのです。そこから、この3つの腹部の呼吸筋を覚えるには「腹を凹ます内外腹斜と腹直筋」という文になります。
呼吸筋の覚え方は簡単
呼吸というのは、ほぼ上半身全体の筋肉を使う行為です。つまり腹部や胸部の筋肉はもちろん、首や背中の上部の筋肉が複雑に組み合わされることで、人間は呼吸しています。
呼吸筋はたくさんの筋肉がありますが、主要な呼吸筋というのは限られていることもあり、その覚え方というのはけして難しいものではありません。一般的に筋トレのときには、どこの筋肉を鍛えているのかということを意識しながらトレーニングするとその効果が一層上がるといわれます。
呼吸筋も筋肉の1種ですので、鍛えるときにはどこにある何の筋肉を鍛えているるのか意識して、効率的に鍛えることをおすすめします。
各呼吸筋の役割についてはこちらの記事で詳しくまとめておりますので、ぜひ合わせてお読みくださいませ。