「リラクセーション」は弛緩・緩むことを意味する単語で、心理学ではストレス・不安・緊張に相対する言葉として使われます。体や心が緩んで心地よくなるための様々な方法を意味する言葉です。
人間の体や心が緩んで心地よい状態になっていると、呼吸は深くゆっくりとなり、筋肉の緊張は解けます。逆にいうと、呼吸がゆっくり深く、筋肉が余計な緊張をしていないときというのは、体や心が緩んでいるということになります。このように呼吸法とリラクセーション法の間には非常に強い関連性があるのです。
そこでこの記事では、リラクセーション法の一つとしての呼吸方法について取り上げていきます。
リラクセーション法を知ると、どんな良いことがあるのか
①リラクセーション法で心身のストレスを取り除くことができる
人間の体は緊張すると筋肉が固まってしまう傾向があります。筋肉を収縮させることで、次の動作に強くそして速く対応できるようになるのですが、この状態を長い間保っていると、緊張するための神経や筋肉をつかさどる交感神経の動きが常に活発になってしまいます。
対象的に、眠る時に活発になる神経は副交感神経と呼ばれ、この神経は体を休める働きをもつ神経となります。人間は眠っている間にエネルギーを宅さえて疲労から回復しているのですが、交感神経が強くなりすぎるとこの「休む・眠る」ということができなくなり、疲労が重なってしまうのです。
しかし、リラクセーション法を覚えることで、人間の体は「休むこと」ができるようになります。その結果、体の疲労が減少し、エネルギーが十分に充電された状態で活動できるようになると、心身が様々なストレスに耐えられるようになります。
リラクセーション法を覚えることで、心身が休めるようになり、ストレスを取り除けるようになるのです。
②リラクセーション法で脳の働きも活発化
使いすぎると疲れてしまうのは、人間の体だけではなく、脳も同じです。大きなストレスに長期間さらされると、人間の脳は小さくなってしまうこともあります。リラクセーション法は、人間の体だけではなく、脳を休める働きもあります。
常日頃人間の脳は何かを考えている、つまり動いているわけなのですが、リラクセーション法で「考える」ことを短期間でもやめる、疲れていた脳休まります。
そしてその後再び活性化し、働きが向上します。具体的には日常生活で仕事や勉強により集中して望めるようになったり、記憶力がよくなったりします。
③生理不順が解消される女性も
また、リラクセーション法を取り入れることで、女性は生理不順が解消される場合があります。交感神経が活発になりすぎると女性の生理機能が働きにくくなり、生理不順や人によっては生理が止まったりすることがあります。
しかし、リラクセーション法を取り入れることで、副交感神経が回復すると、生理が順調に来ることが多くなります。
リラクセーション法と呼吸法の関係とは
①呼吸法はリラクセーション法の一つ
人間の体に良い影響を与えるであろうリラクセーション法の一つが、呼吸法です。
人間は1日に2万回ほど呼吸していますが、この呼吸方法を少し変えるだけで、副交換神経の動きが活発化し、心身を休めやすくなります。
人間の呼吸には胸部を主に使う「胸式呼吸」と腹部を主に使う「腹式呼吸」の2種類がありますが、ストレスがかかると人間は「胸式呼吸」をすることが多くなります。
この呼吸法を変えることで、心身が休まるようになるのです。
②呼吸法が合う人も合わない人もいる
呼吸法はリラクセーション法の一つの方法に過ぎません。あとの章で説明する通り、リラクセーション法は呼吸法以外にもたくさんあります。ですので、呼吸法がリラクセーションとして合う人も、合わない人もいます。
リラクセーション法の呼吸を試してみたけど「何か自分には合わないな」と思ったときには、べつのリラクセーション法をお試しになることをおすすめします。
③慣れないうちは息苦しく感じることも
リラクセーション法としての呼吸法は難しいものではないのですが、試してみると最初のうちは息苦しさを感じる場合もあるかもしれません。そのようなときには無理をせず、少しずつ呼吸法を変えていきましょう。
よりよいリラクセーションのための呼吸法とは
①基本的には腹式呼吸
リラクセーション呼吸とは、ずばり「腹式呼吸」です。腹筋や横膈膜を大きく動かすことで、肺により多くの空気が出たり入ったりすることができます。
やり方は「最初に口から息を思い切り吐く→鼻から少しずつ空気を吸う→腹筋を使いながら口から息を吐き出す」ことの繰り返しです。この時、息を吐き出す時に時間をかけるつもりで呼吸すると、全体的に楽に呼吸ができます。
また息を吐くときには、口からちょっと太めの糸を吐き出すイメージで呼吸すると、スムーズに呼吸できる人が多いです。
②落ち着いた場所で深い呼吸を繰り返すこと
この呼吸法をするときは、周りがざわついていない落ち着いた場所で実行することをお勧めします。周りがうるさいと自分の呼吸に集中することができなくなり、リラクセーションの効果が薄れてしまいます。
落つた場所で、ゆっくり数回、この呼吸法を行ってみましょう。
③呼吸が終わったら「解除動作」を
この呼吸法をしている最中には副交感神経が活発に働き、体が「休んでいる」状態になります。そこから急に立ち上がったり歩き出したりすると、人によってはめまいなどを起こす人もいます。そのため、リラクセーション呼吸が終わったら、「解除動作」をしてから、動き始めましょう。
解除動作は「両手をぐっと握る」ということや「おもいきり背のびする」というような簡単なもので十分です。リラクセーションの後には、解除動作も忘れずに加えましょう。
呼吸以外のリラクセーション法とは
今回ご紹介した呼吸法は、リラクセーションの方法の一つでしかありません。他にも効果的なリラクセーション法として次のようなことが挙げられます。
①アロマテラピー
香りを利用することで、嗅覚を通じて体や脳を休めるた働きを活発にする方法です。市販されている様々な香りのエッセンシャルオイルを使うのが一般的ですが、それ以外にもお好きな香りのハーブティを飲んだりしても、アロマテラピーによるリラクセーション効果が期待できます。
②お風呂
交感神経が活発になっている時、人間の体温は下がります。ストレスに長い間さらされていると人間の体温は下がりっぱなしになります。しかし、お風呂に入って体を温めると、副交感神経が働きやすくなり体も心も休めることができるのです。
③瞑想
目を閉じ、数分間瞑想するだけで、脳が休まり活性化されます。瞑想するときは自分の呼吸に意識を向けて、いつもより少し長めに息を吐き出すことを繰り返してみましょう。
呼吸法を活用して、よりよいリラクセーション法を生活に取り入れよう
リラクセーション法の一つとしてひんぱんに取り入れられている呼吸法は体の緊張を緩めて、心と体を柔らかにするのに適した方法の一つです。
呼吸法をマスターすると、家の中にいるときはもちろん、仕事のときなど緊張感が続くような場面でも、体を心を緩めることで、集中力や発想力が向上したり、精神が安定したりします。
難しいテクニックなどはまったくないので、興味のある人は日常生活で取り入れてみてはいかがでしょうか。