近年、ストレスを軽減し、心を落ち着ける一つの方法として注目されているのが「瞑想」です。
「マインドフルネス」とも呼ばれることも多くなった「瞑想」ですが、この行為の重要な部分を締めているのがその呼吸法。通称「マインドフルネス呼吸法」と呼ばれる呼吸法が、心身のストレスを減少させ、心を落ち着かせる効果があることが注目されています。
この記事では、マインドフルネス呼吸法のやり方とその効果について解説します。
「マインドフルネス」とはなにか
近年ビジネスの世界でも、頻繁に見られるようになった「マインドフルネス」という言葉。言葉自体は一般的になっても、実際にどのようなことをするのかよく知らない人も多いのではないでしょうか。実は「マインドフルネス」とは日本でも昔から行われていることと同じだったのです。
①「マインドフルネス」と「瞑想」はほぼ同じもの
「マインドフルネス」とは、仏教で行われているような「瞑想」から宗教的な要素を除いたものです。仏教において、座禅とともにする「瞑想」は、悟りを開くことが目的の行為ですが、「マインドフルネス」による「瞑想」の目的は悟りを開くことではありません。
②自分の心を「今、ここに」置く行為
「マインドフルネス」による「瞑想」の目的は、「心を、今、ここ」に置くことです。意外と人間は黙っていても、たくさんのことを頭の中で考えているものです。
例えば、晩御飯を食べているときなどは、その行為だけに集中している人は殆どいません。晩御飯を食べながら、今日1日の出来事を思い出したり、明日の予定を考えたり、TVを見たりしている人がほとんどでしょう。しかし、「マインドフルネス」では、過去のことも未来のことも考えず、今自分がしていることだけに集中することがその目的となります。
また、「マインドフルネス」は目の前の出来事に良い・悪い等の価値判断を入れずに、目の前で起こっている「事実」だけを見ることがもう一つの目的になります。目の前でなにか起こると、多くの人はそれに対して何らかの価値判断をしてしまいます。
そして、その価値判断は、あとあとストレスを生むことがあります。そのストレスを避けるため、目の前で起こっている「事実だけ」をうけとるようにすること、それが「マインドフルネス」のもう一つの目的です。
「マインドフルネス呼吸」とはどういうものか
瞑想から宗教色を抜いた「マインドフルネス」ですが、特に重要なことはその呼吸法です。とはいえ、そのやり方自体は消して難しいものではありません。
次の手順で「マインドフルネス呼吸」にチャレンジしてみましょう。
①基本的には腹式呼吸
「マインドフルネス」呼吸はずばり通常の腹式呼吸です。そのため、横膈膜と腹筋を大きく使いながら呼吸をすることになります。
「マインドフルネス」呼吸をするときは、椅子か床に座って、背筋を伸ばして肩の力を抜いた状態から始めたほうが良いでしょう。そして、肋骨の下に吸った空気を入れる気持ちで鼻から息をゆっくり吸います。そのあと、お腹を凹ましながら、口からゆっくりと息を吐き出します。
とにかくゆっくりと、この呼吸を繰り返します。
②吸う息よりも、吐く息を意識する
「マインドフルネス呼吸」をする時には、息を吸うときよりも吐くことを意識した方が、スムーズに呼吸できます。また息を吸うときよりも、息を吐くときの時間を長くかけるようにすると、呼吸をするのが楽になるでしょう。
ちなみに息を吐くときは、口を少しすぼめて太めの紐を吹き出すつもりで呼吸をすると、時間をかけて息を吐けるようになるのでおすすめです!
③呼吸に集中すること
マインドフルネスをしている間は、自分がどのように呼吸をしているのかということをしっかり観察するようにしましょう。
鼻から息を吸っているか、横膈膜や腹筋はきちんと動いているか、口から息を吐いているか、この3点を確認しながらマインドフルネスをしたほうが良いでしょう。
もしも、思うように呼吸ができなくても、自分が快適に呼吸できる方法を探してみましょう。
「マインドフルネス呼吸法」の効果とは
腹式呼吸を繰り返す「マインドフルネス呼吸」ですが、この呼吸をする事により、体にはどのような変化が起こるのでしょうか。体に起こるであろう良い変化を次に挙げてみます。
①血行不良の改善
マインドフルネス呼吸をすることで、主に横膈膜や腹筋が動きます。そのため、体の中には通常の呼吸法より多くの酸素が取り入れられます。その結果、手や足のような体の末端にまで酸素が行き渡るようになります。
特に冷え性の方は、マインドフルネスの後に手足がポカポカ温まることに気がつくかもしれません。また、特に冬には手荒れに悩む人が多いですが、その原因の一つは手先まで必要な栄養素や酸素が行き渡らないことにあります。
しかし、マインドフルネス呼吸により血行が良くなると、酸素や栄養素が手先の皮膚にも行き渡るようになり、手荒れが良くなることもあります。血行不良が改善されると、もちろん肩こりも解消されやすくなります。
②集中力の向上
マインドフルネス呼吸により多くの酸素が体内に取り入れられると、脳にもより多くの酸素が行くようになります。そのため集中力や記憶力が向上します。
また、マインドフルネスをしている間は、脳は「考える」という作業をする量が減りますので脳自体が休まり、リフレッシュされた状態になります。その効果により、集中力や記憶力が良くなるということもあります。勉強や仕事にも良い結果をもたらすかもしれません。
③不眠の解消
まず、マインドフルネスを日常的に取り入れることにより、脳内の作業量が減り、脳がリラックスした状態になります。そのため、夜には楽に眠れるようになります。またマインドフルネス呼吸により、血行が良くなると、手足が暖かくなります。人間は手足が暖かくなると眠りを誘いやすくなりますので、不眠が解消しやすくなります。
このようにマインドフルネス呼吸により、これ以外にも免疫力が上がって風邪をひきにくくなったり、精神的に安定したりといった体の良い変化を感じることができるでしょう。
マインドフルネス呼吸法を日常に取り入れて、健やかな毎日を
マインドフルネスの効果の一つが、その呼吸法から来ていることは多くの人が実感しています。心身をリラックスさせてゆっくりと深い呼吸を意識するだけで、人間の体は大きく変わるもの。
また、自分の呼吸状態をよく見る必要のあるマインドフルネス呼吸法をマスターすると自分とつながりやすくなるため、忙しい毎日のなかで、ほんの少し自分を思いやる時間を持つことができるかもしれません。
瞑想のための長い時間を取ることはできなくても、マインドフルネス呼吸法を取り入れて日常生活を送ってみましょう。