ランニングパワーメーター活用術|心拍では見えない本当の負荷がわかる

データが教えてくれる「本当の負荷」。日本選手権5000m入賞・西川雄一朗選手のSTRYD活用術

西川雄一朗選手は、昨年の日本選手権5000mで5位に入賞。今年度も同種目で決勝に進み、11位に入った国内トップクラスの長距離ランナーです。

そんな西川選手が日々のトレーニングで使い続けているのが、ランニングパワーメーター「STRYD(ストライド)」。トップ選手はパワーデータをどう読み、練習にどう活かしているのか。市民ランナーにも役立つ使い方とあわせて、話を伺いました。


心拍では見えない「本当の負荷」がわかる

STRYDを使い続ける最大の理由は、外部環境に左右されずに「本当の負荷」がわかることだと西川選手は語ります。

「心拍は気温の変化や風ですごく変わってしまう。でもパワーにはそういうものがなくて、ちゃんと一定の数値が出てくれる。それがすごくわかりやすいんです」

データを活用しやすく、何より「シンプルに気になる」。今日はどれくらいの出力だったのかを確かめることが、走る楽しみにもなっているといいます。


練習中は「確認程度」、終わったら必ず振り返る

意外にも、練習中にパワーをじっと見ることは少ないそうです。仲間と一緒に走るため、パワーで練習を大きく変えることはありません。その代わり、終わったら必ず確認します。

「自分の感覚でこれくらいのパワーかなとイメージして走るので、それに対してどうだったかを確認しています」。接地時間(Ground Contact Time)もあわせてチェックしています。

振り返りは翌日の練習にもつながります。持久系の練習なのに思った以上にパワーが出ていた日は、疲労が残ると判断。普段は1km4分ペースのイージージョグを、4分半ほどに落とすそうです。「ペースを落とせばランニングストレスも下がる。出力を抑えたジョグがリカバリーにつながる、という考え方です」

レースでも考え方は同じです。レース中に数値は見ませんが、ロードの駅伝では装着して走り、後から分析します。「上り坂では出力しているけど、下り坂は意外とパワーが出ていない」「1km2分40秒台と、2分50秒台ではパワーがいくつ違うか」といったことを確かめています。


疲労は6週間単位で見る。クリティカルパワーは「走り続ける練習」で伸びる

西川選手が参考にしているのが、疲労の蓄積を示すRSB(ランニングストレスバランス)です。主観と同じなら気にしませんが、「こんなにマイナスなの?」という時はジョグの量を減らすこともあるそうです。

「42日間、つまり約6週間の平均で出るのがすごく良い。1か月前の疲労が1か月後に出ることもあるので、1・2週間より中期的に見るのが参考になります」

もう一つが、閾値の目安となるクリティカルパワー(CP)。使い続けると確実に上がり、特に「連続疾走」の練習が増えると上がりやすいといいます。例えば1km3分〜3分5秒ペースの40分走は、2000mや1600mを4・5本行うインターバルよりもCPが急激に上がる傾向。駅伝の後にも上がるそうです。

「継続して使うと数値が安定してくるので、『今日は閾値くらいでやれたな』とわかる。そこが面白いところです」


市民ランナーへ:「同じパワーでジョグする」が継続のカギ

市民ランナーに勧めたい使い方は、ジョグを一定のパワーで走ることだと西川選手は言います。

「怪我をした市民ランナーの話を聞くと、ジョグの上げ下げがあるんです。調子がいいと上げてしまい、疲労や怪我につながる。同じパワーで走り続ければ動きもそろい、再現性が上がります」

慣れてくると「このペースならこのくらい」「この出力なら30分走れる」と、感覚と数値の差がなくなっていきます。差がなくなると継続しやすくなり、楽しく走れてマラソンにもつながる、というのが西川選手の考えです。

「速い人だけが使うデバイスではないです。時計のペースだけでなく、もう一つデータがあるだけで楽しみが増える。長くランニングを楽しむための、手軽で使いやすいツールだと思います」


29歳、目指すは5000m13分10秒台

西川選手の当面の目標は、5000mで13分20秒を突破して13分10秒台に入ることです。

「29歳ですが、30歳、31歳になっても記録を出せると示したい」。感覚とデータを擦り合わせながら進化を続ける西川選手を、STRYDはこれからも支えていきます。

西川雄一朗(にしかわ・ゆういちろう)

兵庫・須磨学園高校では主将を務め、全国高校駅伝に出場。東海大学では3年時の2019年、第95回箱根駅伝で3区(区間7位)を走り、同校初の総合優勝に貢献。同年の全日本大学駅伝でも優勝メンバーに名を連ねた。4年時は副主将として2年連続で3区を担い、総合2位。2020年に住友電工へ入社。2026年10月にSGホールディングスへ移籍。

日本選手権では、2025年の第109回大会5000mで5位入賞(13分43秒20)。2026年の第110回大会でも決勝に進み、11位。

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